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herajika（ヘラジカ）　インタビュー（前編）

彼らがステージに上がり、一音を鳴らすだけで辺りの空気は安堵とほのかな興奮に包まれる。さながらスーパー・ファーリー・アニマルズのように。そんなロックバンドが、ライヴハウス『阿佐ヶ谷gamuso』を拠点に活動する、08年に結成された男性2人女性3人の5ピースバンド、herajikaだ。

その高い音楽性は確実に聴いた人々の記憶に残る。バンド・リーダーのミシン（vo.g）を中心に、トツカ（b）、サエ（toypiano,melodion）、ユウコ（synth,vo）、ヨシミ（ds）の5人にお話をうかがった。

音楽をすごく楽しんでますよね。シングル2枚を聴きライヴも観て、そう思いました。

ヨシミ
「どんなバンドなの？」って聞かれたら、音楽をやっているようには見えない、図書館にいるような人たちと演奏してる感じって言ってます（笑）。herajikaにはやってやる！みたいな気負いがないんです。楽しいをモットーにやってます。

ユウコ
私たち、変にアーティスト気取りなところがないよね。素人っぽい良さがあるというか（笑）

でも音楽はとても質が高いと思うんです。アシッドフォークと言ってしまうと違うんですが、中にはサイケデリックな楽曲もある。曲は全てミシンさんが書いているのでしょうか？

ミシン
そうですね。全て僕が書いてます。サイケデリックとか、アシッドフォークは大好きですし、ヴァシュティ・バニヤンやティム・バックリィ、他にもローファイと呼ばれるUSインディーのバンドやUKのストレンジポップとかいろいろ聴いてきているので、その要素は滲み出ていると思います。

「陰と陽」ってよく言うじゃないですか。バンドの中で僕は確実に陰なんですよ。ヨシミさんのドラムは曲に陽を与えていて、僕の陰とドラムの陽のバランスが面白いと思うので、そういうところも聴いてほしいなと思います。

トツカ
確かにミシン君が書く曲は陰なところがあると思う。アンニュイというか、影があるというか。ポップな音を鳴らす鍵盤隊とベースがいて、ドラムが光を射す感じで鳴っているから、光に照らされてミシン君の影がより存在感を増しているし、光が揺れ動くから影の形がどんどん変わって、イメージが多様化してherajikaの音になっている気がします。

「イメージの多様化」はherajikaのひとつのキーワードだと思います。意外性のある音やフレーズがどんどん出てくる。で、どの音も単純に気持ちが良いんです。先の展開が読めないのもherajikaの魅力だと思います。

サエ
同じことやってると飽きてきて色々やりたくなっちゃうんです。決まったフレーズだけ弾きたくない（笑）。良いと思ったフレーズが浮かんだら、弾いてみないと気が済まないんです。

トツカ
あらかじめ楽曲の完成形が見えているわけじゃなくて、メンバーの個性を取りまとめて試行錯誤しながら、最終的にミシン君が「これでいこう」と決める感じなんです。

設計図はないんですね。

ミシン
ないですね。本人たちでさえ、どんな音楽になるのか予想できないから、聴く人はもっと予想できないだろうなって思います（笑）。でも、そういうのが凄く面白いと思ってて。設計図を作ってしまうと同じ音しか出せなくなっちゃうと思うんですよ。

ヨシミ
演奏するとき、私、最初は迷いもあったんです。普通のロックバンドの8ビートを叩かない感じだし、違うスタイルを求められるんです。私も次がどんな音楽になるのか予想できない（笑）

ユウコ
最初の頃は手伝ってるっていう感覚で始めたから、ミシン君どうしてほしいの？っていうのはあったかな…。でも少しずつ出す音を自由に決めるようになってきて、音の幅は広がったと思います。

取材日：2011年12月18日

＜後編＞へつづく

ライブハウス：阿佐ヶ谷gamuso
http://gamuso.com/

herajika（ヘラジカ）
http://www.herajika.com/